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煤けた太陽の街

 煤けた太陽のレリーフが掛かった扉を開けると、寂れた雰囲気の部屋に出た。
 目に付く家具は椅子とテーブル。寝心地の良さそうなソファーは、なぜか部屋の隅に追いやられている。  部屋の奥には、紙の束が溢れんばかりに挟まったファイルが雑然と積み上げられているようだ。
 ……探偵事務所、といった所だろうか?
 だが、この寂れ具合を見ると、上に“名”の一文字が付くような探偵ではなさそうだ。
 それを裏付けるように、いかにも迷探偵でございという風情の男が、テーブルに突っ伏して居眠りをしている。
 と、その時。背後でカラン、と扉の開く音がした。

???:
「風間さ〜ん。起きてる? ……って、あれ?」

 振り返るとそこには、ラテン系の騒がしそうな少女がいた。
 少女は困惑の表情を浮かべていたが、我に帰ると、おそるおそる聞いて来た

ラテン系の少女:
「あのぅ。ひょっとして……お客さん、ですか?」

 そんなに客こないのか、ここの事務所……?
 沈黙をどう取ったのか、少女はあわてて部屋に入り、テーブルで寝こける男を揺する。

ラテン系の少女:
「起きて風間さん。お客さん来てるよ?」
風間と呼ばれたねぼすけ:
「……アンヘラよ。夢は寝ながら見るものだ。
 ウチに客なんか来るワケないだろ……Zzz」
アンヘラと呼ばれた少女:
「ホントなんだってば! もぅ、早く起きてよ風間さぁん!」

 どうやら、しばらく時間が掛かりそうだ。手近な椅子に腰掛ける。
 さて……。


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